お盆連休の初日となるその日、俺は都営新宿線の船堀駅に降り立った。ヤンからの命令を遂行するためだ。
本来であれば、ほとぼりが冷めるまでは近付きたくないエリアだ。だがヤンは、「ナルベクハヤク」と言った。
浜田山という新天地で、情報量も少ないままに盗みに入ることは危険過ぎる。それくらいはヤンも承知のはずなのだが……。
過去に猟場として、下見と盗みを繰り返したエリアもある。だがその情報は新鮮なものではない。空き巣は情報が命で、情報は新鮮さが命だ。このエリアであればその二つが揃っている。目星を付けておいた家もある。それに加えお盆の連休だ。細心の注意を払えば、後一件くらいはいける。安易にそう結論付けていた。
目星を付けていた家のポストには、今朝の朝刊が入れられたままだった。車庫に車はなく、窓も閉め切られていた。帰省ラッシュを避けるために、昨夜の内に家を出たのだろう。



