二人は西新宿のオフィス街にある、小さな公園に場所を移した。深夜のオフィス街であれば、一目を気にすることもない。
「お前は、何者だ?」
俺の問いに、男は笑みを浮かべながら答えた。
「お前は今から十数年前、個人情報漏洩で問題となった、○○と言う教育出版社を知っているか?」
俺は頷いた。そこの教材を、一時期利用していたことがある。
「それがどうした? 今何の関係がある? そこのオフィスが、この近くにあったのか?」
俺はからかうように言った。
「あぁっ、あった。本社ではなく営業所だがな」
俺は思いもよらない返答に戸惑った。男の意図が掴めない。
「だからそれがどうした!」
主導権を握らせないために、俺はドスの効いた声を出した。
「オフィスの場所などどうでもいい。その事件の直後、そこの社員が起こした殺人事件も覚えているか?」
再度頷いた。詳細までは覚えていないが、立て続けに起こった不祥事により、その会社は潰れた。



