それからの日々は、スリとして生計をたてた。この頃から、俺は直感というものに頼り始めた。直感でこいつはいける、と思ったターゲットに狙いを絞っていたのだ。
真面目に働くなんてバカらしい。たったの数秒で、ときには何十万という大金を手にすることができるのだ。だが人生には、必ず落とし穴が待っている。
その日もターゲットに狙いを絞り、タイミングを見計らって財布を抜き取った。上手く行った、そう思った。だが、直感は直感でしかない。次の瞬間、右手を掴まれていた。
「イイウデシテルネ」
男の目は鋭く光っていた。真っ暗闇の中、獲物を狙うフクロウのように。
終わった……、そう覚悟を決めた次の瞬間、男は妙なことを口にした。
「ケイサツニイクカ、ツイテクルカ、エラベ」
片言の日本語に、男が日本人でないことを知った。
真面目に働くなんてバカらしい。たったの数秒で、ときには何十万という大金を手にすることができるのだ。だが人生には、必ず落とし穴が待っている。
その日もターゲットに狙いを絞り、タイミングを見計らって財布を抜き取った。上手く行った、そう思った。だが、直感は直感でしかない。次の瞬間、右手を掴まれていた。
「イイウデシテルネ」
男の目は鋭く光っていた。真っ暗闇の中、獲物を狙うフクロウのように。
終わった……、そう覚悟を決めた次の瞬間、男は妙なことを口にした。
「ケイサツニイクカ、ツイテクルカ、エラベ」
片言の日本語に、男が日本人でないことを知った。



