Time is gone



 一時間後、俺は踊るようにして新宿の街を歩いていた。
「奇跡だ! 奇跡が起きた! 俺は、奇跡の時計を手に入れた! 売る? 処分? バカを言うな! こんなお宝、どんな豪邸にお邪魔しても手に入らない! 大英博物館でも、ナサでも、エリア五十一でもだ! 今日はお祝いだ! 朝まで飲むぞ!」 
 周りの目も気にせず、俺は叫んでいた。と言っても、気にする目もなかった。いつの間にか西新宿のオフィス街まで歩いていたため、深夜のそこは無人に等しかった。俺は再び、歌舞伎町を目指した。