Time is gone

「今、何時だ?」
 女は腕時計に目をやり、口を開いた。
「まだ十時半よ。門限でもあるの?」
 女はからかうように笑った。
「十時半? 朝のか?」
 女は大声で笑い出した。
「何言っているのよ、夜よ、ヨル」
 夜……。
「今日は……何日だ?」
 女の返答に、固まった。
 二十四時間近くの時が、知らぬ間に過ぎていたのだ。