「しんくん、何か最近優しくなったよね?」
雪菜が切り出したのは、渋谷の街を二人で歩いているときのことだった。
「そうか? つうかそれじゃ、今までが優しくなかったみたいじゃないか」
「違うちがう! そういうことじゃないの。今までも優しかったよ。でも最近はもっと、ってこと」
俺はそう言われても、心当たりがなかった。首を傾げていると雪菜は続けた。
「最近は夜、よく電話とかメールしてくれるでしょ? 前は疲れているから、ってあまり相手してくれなかったけど」
そう言って雪菜は頬を膨らませて見せた。お世辞にも可愛いとは呼べないその仕草を見て、俺はぶっきら棒に言い放った。
「何だ、そんなことかよ」
別に雪菜のことを思ってそうしていたわけではない。ではなぜか、それはリアルな人との関わりを求めてだ。時を進めている間も、俺は様々な人々と関わっている。だがそれらはなぜか、リアリティーに欠けていた。そのリアルを求め、電話やメールをしていただけだった。もちろん、そんなことは言えない。



