Time is gone

 そのとき、急に脳が揺れ、視界が回った。
 ……熱中症か? やっぱりエアコンは直した方がいいか。
 そんな悠長なことを考えている内に、突然脳裏に様々な映像が浮かんだ。酔い潰れ眠り、蝉の声に叩き起こされ、町を徘徊している自らの姿が。
 俺の指先は、リューズを摘まんでいた。