Time is gone

「デモコレ、ヒキトレナイ」
「引き取れないって言われても、俺だって盗品を持って帰るにはリスクがある」
「ＴＩＧ？　キイタコトナイネ」
　ＴＩＧ、その単語だけが流暢だった。
「でも純金だ」
「ジュンキンデモ、プラチナデモ、ノーブランドハ、ダレモカワナイ」
　ヤンの目には、再び鋭さが浮かび始めた。
「……分かったよ。それは俺が処分する」
　ヤンは笑顔で札を数え始めた。そして現生で五十万円の札束を手渡してきた。
「ハッカケ、マタタノムヨ」
　俺は適当な駅で降ろしてもらい、家路に着いた。時間はまだ九時を過ぎたばかり、どこかで遊んで帰りたい気持ちもあるが、現生の札束を持っていては気が気でない。そしてヤンとの交渉は、精神的に酷く疲れるため、早く休みたかった。
　明日、四・五万持って歌舞伎町に繰り出せばいい。