葬儀を終え、火葬の待ち時間、わしの隣にやってきたのは、陽子だった。
「おじい様、この度は……」
「あぁっ、陽子さん。着てくださったんじゃな。きっとあの子も、元気な姿を見て喜んどりますよ。……ちょっと、外で話しましょうか」
陽子はハンカチで目頭を拭い、頷いた。周りには親類や光彦の知人で賑わっていた。陽子と二人、ゆっくりと話をしたかった。
九月になっても残暑は厳しく、太陽はさんさんと降り注いでいた。それでも秋は近付いているのだろう、空は夏の薄水色ではなく、コバルトブルーに染まっていた。
「眠るような、安らかな顔でした。あんなに立派になられて、これからと言うときに……。仏前で、何度も感謝の気持ちを伝えさせていただきました。私は光彦さんに、救っていただいたのですから」
わしは陽子の背に手を置き、優しく擦った。



