Time is gone

 わしは首を横に振るだけで、何も言えなかった。
「本当のことを教えて。きっと……僕に残された時間は、残り少ない」
「何をバカなことを言っとるんじゃ!」
「僕には分かるんだ。今は時計が与えてくれた、最後の時間なんだ。未練なく旅立つために、最後に与えられた……」
 わしは悩んだ。真実を伝えるべきか、否かを。そして意を決した。隠しとおせることではない。そして、光彦の言葉を信じたくはなかったが、今度こそ信じてやりたかった。それこそが、時計がわしのもとにやってきた、最大の理由だと思った。
「……十年、じゃ」
 覚悟をしていただろう光彦も、ショックを隠せずにいた。一度目を大きく見開き、そして強く瞑った。
「僕は、もう二十八歳か……」
 わしは頷いた。