「それから知らない間に眠っちゃって、夢を見ていたんだ。大人になって、結婚して、子供ができて孫が産まれる、そんな長い夢を。……じいちゃん、僕、生きたいよ。もっともっと生きて、夢を現実にしたいよ。今僕を待ちうけている現実がどんなことになってようとも、生きたいよ」
光彦は、静かに涙を流した。
「あの晩から、何年経ったの? 僕はどれくらい、眠り続けていたの?」
わしは動揺を悟られぬよう、勤めて平静を装った。
「何を言っとる、たったの数日じゃ」
光彦は固く目を瞑った。
「じいちゃん、嘘はつかないで。さっきの二人は、父さんと母さんだろ」
「何を言っとる! そんなナンセンシュな……」
「ナンセンスだって、何度も言ったじゃん。……二人の姿を見たときは分からなかったけど、その声を聞いて、分かったんだ。十八年間聞き続けてきたんだよ、気付かないわけないでしょ? 最初は半信半疑だったけど、じいちゃんが時計を手にしたって聞いて、確信したんだ。あれは父さんと母さんだった、じいちゃんは時を早送りしてきたんだ、って。僕はあの時計の凄さを知っている。だからその時計を利用してきたじいちゃんだけが歳を取っていなくても、驚きはしない。あの時計は、奇跡の時計だもん。……あれから何年経ったの? 三年? 五年?」
わしは首を横に振るだけで、何も言えなかった。
光彦は、静かに涙を流した。
「あの晩から、何年経ったの? 僕はどれくらい、眠り続けていたの?」
わしは動揺を悟られぬよう、勤めて平静を装った。
「何を言っとる、たったの数日じゃ」
光彦は固く目を瞑った。
「じいちゃん、嘘はつかないで。さっきの二人は、父さんと母さんだろ」
「何を言っとる! そんなナンセンシュな……」
「ナンセンスだって、何度も言ったじゃん。……二人の姿を見たときは分からなかったけど、その声を聞いて、分かったんだ。十八年間聞き続けてきたんだよ、気付かないわけないでしょ? 最初は半信半疑だったけど、じいちゃんが時計を手にしたって聞いて、確信したんだ。あれは父さんと母さんだった、じいちゃんは時を早送りしてきたんだ、って。僕はあの時計の凄さを知っている。だからその時計を利用してきたじいちゃんだけが歳を取っていなくても、驚きはしない。あの時計は、奇跡の時計だもん。……あれから何年経ったの? 三年? 五年?」
わしは首を横に振るだけで、何も言えなかった。



