「そうだそうだ、世間といえば、みなさん大丈夫ですか? 戸締りはしっかりしてきましたか?」
「あぁっ、例のことですか。家は家族の者が居りますので問題ありませんが、源蔵さんのとこは大丈夫ですか?」
加藤と斎藤の会話に、わしはついていけなかった。一体、何のことだろうか。
「一応、戸締りはしたつもりじゃが……」
「源蔵さん、一応じゃだめですよ。家にはがらくたしかありませんが、お宅にはたくさんの宝物があるではないですか」
加藤に宝物と言われ、それが骨董品のコレクションを指していることはすぐに分かった。それでも会話の意図するところは、皆目見当が付かなかった。
「そうですよ源蔵さん、最近近所で空き巣被害が続出しているんですから、気を付けてください。我々の住む船堀だけで、この一ヶ月間に二件もやられているんですから」
巷を賑わす空き巣被害を、わしが知るはずもなかった。光彦の容態と自らの死、その二つのことにしか関心がなかったわしにとって、空き巣事件などが記憶に残るはずもなかった。
「……そうでしたな。これからは十分気を付けます」
今までであれば、何を盗まれたとしても痛くも痒くもなかった。だが今は違う。と言っても、コレクションを盗まれることを恐れていたわけではない。万が一空き巣と鉢合わせし、乱闘にでもなれば、一溜まりもない。
死を、恐れていた。
斎藤からの助言、加藤から知らされた空き巣騒動。それらは息子夫婦との同居を、一押しも二押しもした。
「あぁっ、例のことですか。家は家族の者が居りますので問題ありませんが、源蔵さんのとこは大丈夫ですか?」
加藤と斎藤の会話に、わしはついていけなかった。一体、何のことだろうか。
「一応、戸締りはしたつもりじゃが……」
「源蔵さん、一応じゃだめですよ。家にはがらくたしかありませんが、お宅にはたくさんの宝物があるではないですか」
加藤に宝物と言われ、それが骨董品のコレクションを指していることはすぐに分かった。それでも会話の意図するところは、皆目見当が付かなかった。
「そうですよ源蔵さん、最近近所で空き巣被害が続出しているんですから、気を付けてください。我々の住む船堀だけで、この一ヶ月間に二件もやられているんですから」
巷を賑わす空き巣被害を、わしが知るはずもなかった。光彦の容態と自らの死、その二つのことにしか関心がなかったわしにとって、空き巣事件などが記憶に残るはずもなかった。
「……そうでしたな。これからは十分気を付けます」
今までであれば、何を盗まれたとしても痛くも痒くもなかった。だが今は違う。と言っても、コレクションを盗まれることを恐れていたわけではない。万が一空き巣と鉢合わせし、乱闘にでもなれば、一溜まりもない。
死を、恐れていた。
斎藤からの助言、加藤から知らされた空き巣騒動。それらは息子夫婦との同居を、一押しも二押しもした。



