Time is gone

「そうですな、考えてみます。わしはまだこの世を去れん。そのときが来るまで、生き長らえんとならん。そのためには、これ以上不摂生な生活を続けてはおれん。斎藤さん、あなたには何から何まで世話になり、本当に申しわけない」
 深々と頭を下げるわしに対し、斎藤は慌てて口を開いた。
「頭を上げてください。私はただ、みなで長生きしたいだけなんです」
「いや、目が覚めた思いです。つまらない意地など捨て、そのときまで、そのときを迎えるまで、わしは生き続けます。それが……唯一の償いなんじゃ」
 そのとき、償い、斎藤にその言葉の意味を知る由はなかった。わしは光彦が目覚めるその日まで、生き長らえることを誓い直した。