Time is gone

 あのときの高揚感は、一ヶ月経った今でも忘れない。全身から沸々と喜びが湧きあがり、全身の血液が沸騰し、毛穴という毛穴から飛び出してきそうだった。俺は声にならない咆哮を上げた。
 だが次の瞬間に感じたのは、寝起きの気だるさとは異なる倦怠感だった。その感覚を、俺はよく知っていた。この四年間、毎日感じてきた気だるさ。一日の大半を、給料という対価のために費やした、肉体と精神に降り注ぐ代償。
 そう、時を飛び越えたとしても、その間の疲労は蓄積されるのだ。それもそうだ、飛び越えた間の記憶があるということは、時計を使った瞬間から、その先の未来へとワープしたわけではない。その間をあくまでも早送りしただけなのだ。この時計の持つ能力は、時を飛び越えるではなく、早送りする能力だった。