アッと言う間に一ヶ月が過ぎようとしていた。それもそうだ、一日の大半を占める労働時間を飛び越えてきたのだ。朝目覚めるのが七時半。仕事を終えて家に辿り着くのが夜の九時として、実に十三時間半を飛び越える毎日。そして残りの十時間半の内、六時間を睡眠に費やす。正常に意識を保っているのは、一日四時間半。アッと言う間に時は過ぎて行く。
俺は時計を手にした翌週の月曜から、さっそく奇跡の時計の恩恵を授かることにした。朝、いつもどおり目覚まし時計に叩き起こされ、眠気まなこのまま時計のリューズを回す。すると次の瞬間、俺はスーツを纏い、玄関の鍵を開けるところだった。



