「では、来週の伊豆への旅行は、必ず参加してください。家に引きこもってばかりでは、天国の奥さんも安心して成仏しておれませんよ」
はぁ……、わしは頭の中に残された記憶を整理することに集中しており、つい生返事になっていた。
光彦、お前はまだ眠ったままなのか。そして、わしはまだ……。
「それにしても源蔵さん、どうしてそんなに若々しいのでしょうか? 私は源蔵さんよりも十も年下なのに、腰は曲がるし肩は上がらんし、最近では血圧も高く、医者に減塩するよう言われている始末ですよ。何か若さの秘訣でも、おありでしょうか?」
若い人から見れば、老人は老人でしかない。その違いは分からないかもしれないが、老人同士であれば、その些細な違いにも敏感に反応した。
「いや、わしは何もしておらんよ」
「またまた隠されて。ここ十年間くらい、まったく変わっておられませんよ」
十年、その数字が引っ掛かった。リューズを回し始めたのもまた、十年前だ。
はぁ……、わしは頭の中に残された記憶を整理することに集中しており、つい生返事になっていた。
光彦、お前はまだ眠ったままなのか。そして、わしはまだ……。
「それにしても源蔵さん、どうしてそんなに若々しいのでしょうか? 私は源蔵さんよりも十も年下なのに、腰は曲がるし肩は上がらんし、最近では血圧も高く、医者に減塩するよう言われている始末ですよ。何か若さの秘訣でも、おありでしょうか?」
若い人から見れば、老人は老人でしかない。その違いは分からないかもしれないが、老人同士であれば、その些細な違いにも敏感に反応した。
「いや、わしは何もしておらんよ」
「またまた隠されて。ここ十年間くらい、まったく変わっておられませんよ」
十年、その数字が引っ掛かった。リューズを回し始めたのもまた、十年前だ。



