Time is gone

 遺書はいつの間にか、懺悔になっていた。許しを乞うためでも、救いを求めたわけでもない。辰雄や景子の背負った十字架を、少しでも軽いものにしてやりたかった。呆けてしまったと思われようとも、信じてもらえずとも、真実を書き残す必要があった。己のためではない。他ならぬ、光彦のために。
 遺書を書き終えたわしは、それを仏壇の引き出しに仕舞った。ここであれば、必ず気付いてもらえる。
 そして居間に戻り時計を手にし、リューズを回し始めた。回し続けた。その先が、この世ではないことを祈りながら。