わしは十分過ぎるほどに生きた。その間にいくつもの死を目にし、その覚悟を募らせてきた。戦場では日々数十人、数百人、数千人の死を目の当たりにしてきた。ゆえに、死を恐れることはない。だが光彦はどうだ、あの子はたった十八年しか生きていない。死を覚悟するには、あまりにも短く、幼い。これからどんな未来が待ち受けているかも分からぬまま、その希望を失い、死を選ぼうとした。その辛さは、わしのそれとは比べものにならなかったはずだ。どれだけ苦しかったのだろうか。
真っ暗な自室で、飲めもしないアルコールを大量に摂取し、風邪薬を目の前にし、一人人生に絶望していた孫の様子を思い浮かべ、その苦しみを共有し、その苦しみを理解しきれない己を呪い、わしは涙した。
「すまん、光彦。何もできんかったばかりか、気付いてやることさえできんで……」
頬をつたう雫を拭い、再び筆を手にすると、自らの罪を綴った。時計のことを、光彦からその能力を告げられたことを、信じてやれず、邪険な態度を取ってしまったことを。
真っ暗な自室で、飲めもしないアルコールを大量に摂取し、風邪薬を目の前にし、一人人生に絶望していた孫の様子を思い浮かべ、その苦しみを共有し、その苦しみを理解しきれない己を呪い、わしは涙した。
「すまん、光彦。何もできんかったばかりか、気付いてやることさえできんで……」
頬をつたう雫を拭い、再び筆を手にすると、自らの罪を綴った。時計のことを、光彦からその能力を告げられたことを、信じてやれず、邪険な態度を取ってしまったことを。



