気が付くと、真っ白な天井が広がっていた。
天国でも、地獄でもなかった。
そこが例え地獄であったとしても、現世に比べれば楽園だった。
「父さん、目を覚ましたか」
一人息子、辰雄の声が響いた。
「一体どうしちまったんだよ。余計な心配を掛けさせないでくれよ」
すまん、声にしようとしたが、それを空に発することはできなかった。体が痺れている。
わしはきっと、精神安定剤か軽い麻酔でも打たれたのだろう。首筋に鈍い痛みを感じると共に、気が遠のいていった。一層のこと、青酸カリでも打ってくれればよかったのだ。
覚醒しきらない頭で、わしはなおも思考回路を働かせた。



