「お前だけじゃない、ばあさんが、ばあさんが死んだのもわしのせいじゃ。わしは何と愚かだったんじゃ。そうとも知らず、辰雄を、景子さんを、せめ続けていた……。すまん、すまん光彦」
絶望の淵に佇んでいたそのとき、病室の扉が前触れもなく開かれた。
「どうしたんですか、お義父さん!」
病室に入って来たのは、光彦の母親、景子だった。
「すまん景子さん。わしが、わしが光彦をこんな姿にしてしまったんじゃ! すまん、すまん……」
景子はわしの錯乱する姿を見て、困惑した。
「お義父さんのせいじゃありません。ですから落ち着いてください。お義父さんまで倒れてしまったら、私たちはどうすればいいんですか」
「わしなど死んだ方がいいんじゃ! ばあさんではなく、わしが死ねばよかったんじゃ! 光彦をこんな姿にして、おめおめと生きてなどおれんじゃろうが!」
騒ぎを聞き付けた看護士が病室に現れ、景子から事情を聞くと、慌てて病室を飛び出し、すぐに戻って来た。その間わしは光彦にすがり付き、ひたすら謝罪の言葉を口にしていた。
看護士はわしの背後に近付くと、手にしていた注射器を、躊躇うことなく突き刺した。



