誰にも看取られず、一人きりでこの世を去る。五月も過ぎ、暑さも増してきた。一ヶ月もしない内に腐敗し、白骨化するだろう。激動の時代に産まれ、国のために戦地へと向かい、国の再建のために尽力し、バブルを乗り越え、やっと手にした老後……。その穏やかな日々も、長続きはしなかった。その挙句が孤独死とは、あんまりではないだろうか。この歳にもなれば、死を恐れることはない。いや、若かりし頃、戦場に死への恐怖など捨ててきた。ゆえに死への恐怖などない。望むのであれば、安らかにそのときを迎えられることを願うだけで……。
ばあさん、なぜわし一人を残して、逝ってしまったのだ。
息子夫婦とはあの一件以来、まともに顔を合わせてはいない。四十九日の打ち合わせで何度か話はしたものの、その際も事務的なやり取りをしただけだった。
ばあさん、なぜわし一人を残して、逝ってしまったのだ。
息子夫婦とはあの一件以来、まともに顔を合わせてはいない。四十九日の打ち合わせで何度か話はしたものの、その際も事務的なやり取りをしただけだった。



