「……分かりました。それではご飯だけでも、食べに来ていただけませんか? それも嫌でしたら、私が作って持ってきます。そのときに掃除なども……」
「一切お前たちの力など借りん!」
……親父が。
ぼそぼそ、という呟きが、耳を不快に刺激した。
「今、何と言った?」
挑発的な口調に、息子は顔を真っ赤にして返した。
「クソ親父って言ったんだよ! もういい、帰ろう。こんな頑固ジジイ、どうなろうが知ったことか」
「でも……」
嫁の制止を振り解き、息子は立ち上がった。
「いいんだよ。どうせその内泣き付いてくるさ。さぁ帰ろう。病院にも寄って行きたい」
「あぁ帰れ! せいせいするわ」
その一言に息子は振り向き、捨て台詞を浴びせた。
「言っとくけどな親父、俺たちにはあんたのことを気にしていられるほどの余裕はないんだからな。あんた以上に、大変なんだからな……」
わしは何も答えずに、身の回りを片付け始めた。
「あれもこれも、ばあさんが死んだのも、全部お前たち夫婦のせいじゃろうが。それを棚に上げ……ふざけおって」
玄関の扉が勢いよく閉まる音が響いた。だが、あの懐かしい声が聞こえて来るはずもなかった。
「一切お前たちの力など借りん!」
……親父が。
ぼそぼそ、という呟きが、耳を不快に刺激した。
「今、何と言った?」
挑発的な口調に、息子は顔を真っ赤にして返した。
「クソ親父って言ったんだよ! もういい、帰ろう。こんな頑固ジジイ、どうなろうが知ったことか」
「でも……」
嫁の制止を振り解き、息子は立ち上がった。
「いいんだよ。どうせその内泣き付いてくるさ。さぁ帰ろう。病院にも寄って行きたい」
「あぁ帰れ! せいせいするわ」
その一言に息子は振り向き、捨て台詞を浴びせた。
「言っとくけどな親父、俺たちにはあんたのことを気にしていられるほどの余裕はないんだからな。あんた以上に、大変なんだからな……」
わしは何も答えずに、身の回りを片付け始めた。
「あれもこれも、ばあさんが死んだのも、全部お前たち夫婦のせいじゃろうが。それを棚に上げ……ふざけおって」
玄関の扉が勢いよく閉まる音が響いた。だが、あの懐かしい声が聞こえて来るはずもなかった。



