Time is gone



 明日にでも家を、仕事を探しに行かなくてはならない。もうこのマンションの家賃を払っていくことはできない。だが借金を、カードの支払いはどうすればいいだろうか。借金は月々返していけばいい。だがカードの支払いは待ってくれない。支払いのために新たな借金をしようにも、もうどこにもお金を貸してくれるところなどない。
 春の新作バックに、大金が入ると踏み大量買いしたドレスやアクセサリー、三つ星レストランでのディナー代、ホテルでの滞在費、全てカードで払った。それ以外の買い物も全てカードで払っているため、来月には、総額百万以上の請求が待ち受けている。
 死ぬことも、内臓を売ることもできず、体を売って来た。その体すら、もう売ることができなくなってしまった。そして時計を売ることさえできなかった。もう私には、何も売るものがない。もちろん、お金もない。こんなことになると分かっていれば、少しでも貯金しておいた。だが、後悔しても遅い。過ぎた時は、二度と戻らないのだから……。
 私は絶望の淵に佇んでいた。そしてそれが本当に絶望の淵であれば、その先には希望しか残っていない。パンドラの箱の、底のように。