そこには四十を過ぎた、禿げ頭の肉塊が待ちわびていた。その視線は私の姿を捕らえるなり服を脱ぎだし、アッと言う間に一糸纏わぬ姿となった。肉と肉の間に埋もれた小指ほどのそれを見た瞬間、私はバックから時計を取り出す間もなく、その場で膝から崩れ落ちた。そして、吐いた。吐き続けた。意思を越え、体が異物を吐きだそうと吐き続けた。
私の体に起こった異変、それは口内で起こっていた。今まで口に含んできた何百本という男のそれが、何千億、何兆、何十兆という精子たちが蘇り、暴れまわっていた。
臭い汚い粘つく臭い汚い粘つく臭い汚い粘つく臭い汚い粘つく吐きだせ吐きだせ吐きだせ吐きだせ吐きだせ!
だが男たちのそれも、精子たちも、決して吐きだせない。舌に絡まり、喉に詰まり、食道を通り、胃の中に入ってくる。胃液の分泌腺を抜け、子宮に入って来ようとする。
受精させろ受精させろ受精させろ受精させろさ受精させろ、させ子!
何百、何十兆という呪いの叫び。それを体外から排出しようと、私は嘔吐を繰り返した。
私の体に起こった異変、それは口内で起こっていた。今まで口に含んできた何百本という男のそれが、何千億、何兆、何十兆という精子たちが蘇り、暴れまわっていた。
臭い汚い粘つく臭い汚い粘つく臭い汚い粘つく臭い汚い粘つく吐きだせ吐きだせ吐きだせ吐きだせ吐きだせ!
だが男たちのそれも、精子たちも、決して吐きだせない。舌に絡まり、喉に詰まり、食道を通り、胃の中に入ってくる。胃液の分泌腺を抜け、子宮に入って来ようとする。
受精させろ受精させろ受精させろ受精させろさ受精させろ、させ子!
何百、何十兆という呪いの叫び。それを体外から排出しようと、私は嘔吐を繰り返した。



