長い十五分間だった。その間、二人はジッとソファーに座っていた。トシが何か言おうとする度に、私はきつく睨みつけ、その言葉を封じた。
壁の時計が時を刻む、カチッ、カチッ、という音だけが部屋に響いていた。そして壁の時計が十一時半をさしたとき、私の希望は絶えた。
「ありがとう。もういいわ。シャワーを浴びるなり寝るなり、好きにして。私はここで寝るから、電気を消して出て行って」
「陽子、一体どう……」
「一人にして。……お願いよ」
その切なる願いに、トシは黙って立ち上がり、電気を消し、寝室へと向かった。そしてバタン、という扉が閉まる音と共に、私は声を殺して泣いた。



