Time is gone

「やだよ」
「何で?」
「やだからだよ」
「ガキじゃないんだから、理由があるでしょ?」
「気味が悪いんだよ」
「私が?」
「そうじゃない……」
「じゃ、何が?」
「お前もだけど、それ以上にその時計が」
「なぜ?」
 トシは一つ溜息を吐いた。
「お前、その時計を持って帰ってきた夜くらいからさ、様子がおかしいんだよ。急に仕事を休みだしたり、寝惚けたり、出て行ったり、人が触れただけで叫びだしたり……」
 男は男なりに傷ついていたのだろか。そう思うと、なぜか愛しくさえ思えた。