我に返ると、男の腕が枕になっていた。私はこぼれそうな雫を、必死で堪えた。
私は一体、どうなってしまったのだろうか。
今はそんなことを考えている場合ではない、自らを叱咤し、目的遂行のために思考回路を切り替えた。
枕元のスタンドから時計を取り上げ、言葉巧みに、男が時計のリューズを回すよう誘導した。今回は時計の能力を明かさなかった。もし万が一、時計がその能力を発揮しなかった場合のリスクを考慮してと、そんな説明はしなくとも、結果は分かるからだ。その能力が発揮されれば男は狂乱状態で連絡して来るはずだし、発揮されなければ、もう一度セックスしたいと言って来るだけだ。能力が発揮されてから交渉に入ればいい。
精子が空っぽになった男を思いのままに操ることなど、私のテクニックを持ってすれば容易な作業だった。リューズを回し終えた男から時計を受け取ると、自らもまたリューズを回した。
好きでもない男とこれ以上ベッドを共にすることが、耐えられなかった。



