次の交渉人とは、三日後の夜九時にアポを取った。相手は私が六本木のクラブで働いていた頃の上客。多くの飲食店を経営している四十代の男だ。何度かベッドを共にしたことのある男は、二年ぶりの連絡にも関わらず、再開の申し出を二つ返事で承諾した。昔の女と久々に再開し、甘美のセックスを味わえる。そんなシュチエーションはなぜか、男心をくすぐる。
梨花には頼らなかった。それは一人目の交渉決裂を、自らの口で知らせるようなものだからだ。そんな醜態をさらすことを、私のプライドが許すはずがなかった。
もちろん、鳴澤の口から事の成り行きは伝えられるだろう。どんなふうに伝えられるか、気にならないと言えば嘘になる。だがそんなことにやきもきしている場合ではなかった。一刻でも早く、新たなビジネスパートナーを見つけださなくてはならない。



