「指名? 私は高いわよ。あんた何かじゃ指名できないわよ」
「金じゃなく、愛があるだろ? 俺らは恋人同士なんだからさ」
「何言っているの、いまさら。笑わせないで。これ以上つまらないこと言うなら、許さないわよ」
さすがに私の堪忍袋の緒は、ぶち切れる寸前だった。
「何カリカリしてんだよ? いいじゃんかよ」
ベルトをいじりながらトシは私に近付き、覆い被さろうとしてきた。トシの手が私の手を掴んだ瞬間、今までに感じたこともない、強烈な嫌悪感が背筋を走り、凍り付いた。
「止めて! 触らないで!」
私は右足でトシの腹を思い切り蹴り飛ばしていた。勢いよく尻餅をついたトシは、茫然と私を見上げていた。
「汚い手で私を触らないで。汚らわしい……」
私は荒い呼吸を整える間もなく自室に向かい、シャネルのボストンバックをクローゼットから取り出すと、手当たりしだい服を詰めていった。
当分ホテル暮らしをしようと決めた。あんな男と一つ屋根の下で暮らすなんて、耐えられないと思った。
それにしても、あの嫌悪感は何だったのだろうか。
「金じゃなく、愛があるだろ? 俺らは恋人同士なんだからさ」
「何言っているの、いまさら。笑わせないで。これ以上つまらないこと言うなら、許さないわよ」
さすがに私の堪忍袋の緒は、ぶち切れる寸前だった。
「何カリカリしてんだよ? いいじゃんかよ」
ベルトをいじりながらトシは私に近付き、覆い被さろうとしてきた。トシの手が私の手を掴んだ瞬間、今までに感じたこともない、強烈な嫌悪感が背筋を走り、凍り付いた。
「止めて! 触らないで!」
私は右足でトシの腹を思い切り蹴り飛ばしていた。勢いよく尻餅をついたトシは、茫然と私を見上げていた。
「汚い手で私を触らないで。汚らわしい……」
私は荒い呼吸を整える間もなく自室に向かい、シャネルのボストンバックをクローゼットから取り出すと、手当たりしだい服を詰めていった。
当分ホテル暮らしをしようと決めた。あんな男と一つ屋根の下で暮らすなんて、耐えられないと思った。
それにしても、あの嫌悪感は何だったのだろうか。



