翌日の昼には、五日後の夜八時にアポが取れた、梨花からそう連絡がきた。それまでの日々、私は世間よりも少し早い春休みを謳歌することにした。いや、これから死ぬまで続く、エンドレスバケーションの序章を。
「やっと私にも、本当の春が訪れるのね。長かった……」
目に映る全てが、春の温かな日差しを受け輝いていた。
「人間やっぱり、余裕が必要ね? それがあれば、こんなにも穏やかな気持ちになれる」
だがそんな甘い時間は、突然吹いた春一番によっていとも容易く吹き飛ばされた。
「アレッ、起きてたんか? 昨日は仕事じゃなかったのかよ」
朝帰りではなく昼帰りとは、本当に何様のつもりなのだろうか。
「一週間休みを取ったのよ。悪い?」
「悪くはないけど……こないだバック買ったばかりだろ? 一週間も休んで、支払いは大丈夫なんかよ」
心配するなら働け! 私は心の中で叫ぶだけで、口にはしなかった。せっかくの気分を、台無しにはしたくなかった。



