帰宅した私を、待ってました、とばかりに携帯が着信を知らせた。梨花からだ。
「もしもし、もう候補が見つかったの!」
高揚した私の口調とは対照的に、梨花の声は落ち着いていた。
「えぇ、取り合えず数人ね。先ずは政治家。産まれも○○財閥という、根っからの金持ち。どの党の誰かまでは言えないけど、いいポストにいることは確かよ。それから医者。○○病院の、院長の一人息子。名前くらい聞いたことあるでしょ? 次にスポーツ選手。巨人でレギュラーよ。打順? それはまだ教えられないわよ。後は新興宗教の教祖で、最後にIT会社の社長。そこら辺の社長じゃないわよ。一時期有名になった、ヒルズ族の再来と言われている超やり手。誰を選んでも、一億二億は軽いわ」
さすが梨花、一晩でこれだけの候補を……。彼女に頼んだのは、正解だった。
「……すごい! ありがとう梨花! 一晩誰がいいか考える時間をちょうだい?」
「もちろんいいわよ。でも、あなた本当に何するつもり?」
私は躊躇った。だが隠せば怪しまれるだけだ。
「報酬と共に教えるわ。だからそれまでは、私を信じて?」
「……分かったわ。でもお願いだから、変なことはしないでね」
「大丈夫、あなたの人脈を傷付けるようなことはしないわ。じゃ、また連絡するわね」



