Time is gone



 ミシェランガイドで三つ星を取ったレストランの前で、私は携帯を取り出した。そして私が働く店に電話し、インフルエンザにかかったと嘘を付き、一週間の休みを得た。店長は私の体調を心配するでもなく、私が抜けることによってできる、穴を心配しているようだった。だがインフルエンザでは無理も言えない。店のキャストや、ましては客に移しては大事だ。渋々了承した。
 電話で辞めると伝えようとしたが、思い留まった。そんな簡単に辞めさせてはもらえない。辞めるための布石として、先ずは一週間の休みを得たのだ。その後のことは、一週間後に考えればいい。
 唯一気掛かりだったことからも解放された私は、店内に足を踏み入れた。一人三万はくだらないディナーのコース。ワインを一本空ければその倍はいく。だがこれから大金を手にする私からすれば、それははした金でしかなかった。
「さぁ、セレブとしての、第二ステージよ」