Time is gone

「もしもし、久しぶり。元気?」
「陽子! 久しぶりじゃない。あなたこそ元気? お店辞めてからは、すっかり疎遠になっちゃったから」
 なじるような口調だったが、彼女にそんな気はない。いわゆる、社交辞令の一種だ。
「私は元気よ。あなた、まだあそこで働いてる?」
「いいえ、今はもうちょっと高級なお店よ」
 しめた! 希望が膨らみ、心の中でガッツポーズをしていた。
「陽子こそ、今は何しているの?」
 一瞬、固まった。風俗なんて言ったら、腹の底で笑われるだけだ。
「……私は、普通よ。普通のOL」
「陽子がOL? もったいないわね」
 OLでもったいないなら、風俗嬢であったらどうなるのだろうか。
「それより、久しぶりで悪いんだけど、ちょっとお願いがあるの。いいかしら?」
 何? 旧友の口調は変わらなかった。久々の連絡が、世間話のはずがない。