中学校時代、あの頃から青春と呼ばれるものが始まった。制服という日本を象徴したものを纏うことを強要され、大人への階段を目の前にした時代。それぞれの人生、初の分岐点に立たされた時代。この頃の記憶は、小学校時代に比べ、随分と地味な色をしていた。教育ママへと変貌した母親の手により、学校と塾、たまの息抜きとして釣糸を垂らす、そんな単調な生活を繰り返していた。部活で汗水垂らすことも、片思いの子を映画に誘うこともなかった。そんな日々になぜ疑問を抱かなかったのか……。もしあの時計に、時を戻す能力があれば……。
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