地元の駅に着いたのは、十一時近くだった。駅前のコンビニに寄り、缶チューハイを適当にカゴに放り込み、家路に着いた。
家の中は静まり返っていた。両親はすでに眠ったか、祖父から不合格の知らせを聞き、そっとしてくれているのかもしれない。
自室に入った僕は、明かりも点けずに、缶チューハイを机の上に並べた。その中の一本を無造作に取り上げ、プルタブを引くと同時に、喉に流し込んだ。一口含んだだけで体が熱くなり、視界が一瞬、揺れたような気がした。
剛と何度か酒を飲んだことはある。だが僕は弱かった。一本飲んだだけで真っ赤になり、二本目を口にした頃には眠ってしまった。だが今、目の前にはその数倍の缶が並んでいた。
大学不合格を理由に自棄酒、童貞卒業を祝う祝杯、そのどちらでもなく、どちらでもあり、それ以上の何かであった。
僕は缶の中身を口に含む度に、過去へ、過去へと遡っていった。



