三畳ほどの狭い個室。室内を照らす薄いピンクのライトが妖艶さを増している。僕は早まる鼓動を抑えられずにいた。塾と学校と自宅、その往復ばかりをしていた僕にとって、そこはまさに別世界だった。
そこは大人の世界。なぜそんなところにいるのか、決して受験に失敗して自暴自棄になったわけではない。だからと言って、何か大義名分があったわけでもない。僕は大人の男になりたかった。……なってあげたかった。
待つこと二・三分、視線を定められず、あちこち見回していると、唐突に扉は開かれた。
「お待たせいたしました。エリカと申します」
写真で見たよりかは、幾分均等の取れていない顔立ち。それでも十分、可愛かった。
この子とこれから……、そう思い思わず生唾を飲み込んだ。
「随分と可愛らしいお客さんね? こういうお店は初めて?」
はい……、僕は震える声で答えた。緊張と、期待と不安が入り交じり、声だけでなく、全身が震えていた。
エリカと名乗る女は、くすくす、と笑うと、抱えていた黒のバックを床に置き、ゆっくりと近付いてきた。その大きなバックには、大きなシャネルのロゴが刺繍されていた。
そこは大人の世界。なぜそんなところにいるのか、決して受験に失敗して自暴自棄になったわけではない。だからと言って、何か大義名分があったわけでもない。僕は大人の男になりたかった。……なってあげたかった。
待つこと二・三分、視線を定められず、あちこち見回していると、唐突に扉は開かれた。
「お待たせいたしました。エリカと申します」
写真で見たよりかは、幾分均等の取れていない顔立ち。それでも十分、可愛かった。
この子とこれから……、そう思い思わず生唾を飲み込んだ。
「随分と可愛らしいお客さんね? こういうお店は初めて?」
はい……、僕は震える声で答えた。緊張と、期待と不安が入り交じり、声だけでなく、全身が震えていた。
エリカと名乗る女は、くすくす、と笑うと、抱えていた黒のバックを床に置き、ゆっくりと近付いてきた。その大きなバックには、大きなシャネルのロゴが刺繍されていた。



