それは大学に受かることだったのかもしれない。いい大学に入っていい会社に就職する。そこに絶対的な安定も将来もないことを知り、僕は歩むべき道を失った。そして腐っていた。その道は、未だに真っ暗だ。両親と祖父母の関係を修復するために大学受験に挑んだが、それは口実だったのかもしれない。その道が分からないからこそ、用意されたレールの上を再び歩みだしたのかもしれない。自らの意思で。そこに僅かな希望を求め。
だが、その希望も絶えた。
僕は再びそれを失った。
時計の力を借りればまた一年、必死に勉強できるかもしれない。そして来年こそは、大学に合格できるかもしれない。その後の人生にどんな困難が待ち受けていようとも、時計の力があれば乗り越えられるかもしれない。そして定年を迎え、時計の力に頼らずとも平穏な老後を迎え、日長一日釣糸を垂らしていられるかもしれない。そして穏やかにその日を迎えられるかもしれない。
「……でも、ちょっと疲れちゃったな。少し、休もう……」
僕は右手の親指と人差し指の先にできた、小さなマメを見つめ呟いた。そして中指の第一関節の辺りにできた、少し大きなそれを。堕落と、絶えまない努力の結晶を。
だが、その希望も絶えた。
僕は再びそれを失った。
時計の力を借りればまた一年、必死に勉強できるかもしれない。そして来年こそは、大学に合格できるかもしれない。その後の人生にどんな困難が待ち受けていようとも、時計の力があれば乗り越えられるかもしれない。そして定年を迎え、時計の力に頼らずとも平穏な老後を迎え、日長一日釣糸を垂らしていられるかもしれない。そして穏やかにその日を迎えられるかもしれない。
「……でも、ちょっと疲れちゃったな。少し、休もう……」
僕は右手の親指と人差し指の先にできた、小さなマメを見つめ呟いた。そして中指の第一関節の辺りにできた、少し大きなそれを。堕落と、絶えまない努力の結晶を。



