きっとこの時計は、僕をここまで導くために釣られた。だからその役目を果たしたら、手放すべきだ。そうでないと、僕もこの時計に心を奪われてしまう。
当初はそんなことはないと思っていた。でも僕はこの時計の力に頼り、肉体を酷使してきた。いくらでも無理できると高を括り、実際に無理を強いてきた。その時点で僕は心を奪われつつあったのだ。このまま時計を利用し続ければ、僕は斎藤真哉、奴の二の舞になる。僕は懲役十年なんて、真っ平ごめんだ。だからこそ、大学合格と共に僕はこの時計を手放す。
試験監督が会場に入って来たことを確かめると、僕はゆっくりと時計のリューズを回した。祈りを込め、ゆっくりと。
当初はそんなことはないと思っていた。でも僕はこの時計の力に頼り、肉体を酷使してきた。いくらでも無理できると高を括り、実際に無理を強いてきた。その時点で僕は心を奪われつつあったのだ。このまま時計を利用し続ければ、僕は斎藤真哉、奴の二の舞になる。僕は懲役十年なんて、真っ平ごめんだ。だからこそ、大学合格と共に僕はこの時計を手放す。
試験監督が会場に入って来たことを確かめると、僕はゆっくりと時計のリューズを回した。祈りを込め、ゆっくりと。



