時計を利用する上で、僕は幾つかのルールを作った。この一ヶ月間の反省を活かしてだ。
先ず一つ、時を進めるのは一回できっかり一週間。そうでないと、その間の膨大な情報量に脳の処理速度が追いつかず、頭痛すら覚えるからだ。そして、一種の規則性を作るためでもあった。
もう一つは、時を進める先は必ず日曜の夜十時にすること。そしてその時間は、必ず自室にいることだ。それは恥をかかないためと、身を守るためだ。
当初、僕は何も考えずに時計のリューズを回した。それで何度が痛い目に遭った。一度は時を進めた先が授業中で、我に返った僕は驚き立ち上がり、教師には居眠りをしていたと叱られ、周りからはいい笑いものとなった。まぁ、それくらいなら笑い話で済む。だが一度は、生命の危機さえも感じた。たまたま時を進めた先が帰宅途中で、歩いていた僕は足をもつらせ、危うく車道に倒れ込みそうになった。そしてその横を、一台の車が走り抜けた。奇跡の時計も万能ではない、使う方も注意しなくてはならない。



