年が明け、新たな一年が始まった。両親と祖父母を交えた親子三代に渡る壮絶な親子喧嘩から、早くも一ヶ月が過ぎようとしていた。時計の力を借りた僕からすれば、それは本当にアッと言う間のできごとだった。
あの晩の翌日から、僕は真面目に授業を受けるようになり、塾へも通うようになった。今まで自堕落的な生活を送ってきた僕が、急に真面目に授業を受け、塾に通い、家に帰っても深夜まで勉強をする、という生活に戻れるはずもなかった。それを実際にこなすことができたのは、一重に時計のおかげだった。どんな苦労も努力も一瞬の内に過ぎていく。僕にとってはその全てが、睡眠学習のようなものだった。ゆえに、日に日に時計への依存度は高まっていった。
時計などに洗脳されるはずがない、その予想は早くも外れていた。そして時計を巡り殺人事件が起きたということも、気にならなくなっていた。どこに行くにも時計を肌身離さず持ち歩き、誰の目にも触れないようにした。
この時計が歩むべき道を照らしだす、僕はそれを信じて疑わなくなっていた。



