Time is gone



 家に辿り着いた頃には、すでに深夜一時を回っていた。冷蔵庫から発泡酒の缶を取りだすと、その場で半分飲み干した。喉が渇いていたわけではない。妙に鋭くなった神経を落ち着かせるためだった。
 一息付くと、上着を脱ぎリビングへと向かった。リビングといっても、寝室を兼ねた狭い部屋だ。いわゆる、ワンケーの一人用マンションが俺の城だ。それでも月々の家賃は六万。給料の四分の一を占めている。何の変哲もない部屋だが、立地は中々の好条件である。ベランダに出れば道路を挟んで川が流れており、川岸は綺麗な遊歩道となっている。夜になると等間隔に設置された街灯がオレンジ色の光を放ち、函館の赤レンガ倉庫を彷彿させる。その景色が気に入り、学生の頃から住んでいた。
 テレビを付け、ズボンのポケットから携帯を取り出すと、二件の新着メールが届いていた。その内の一件は、見知らぬメールアドレスからだった。
 まさか……。いや、そんなわけがない。