退屈なだけの授業を終え、ゲームセンターや本屋で時間を潰し、九時を過ぎた頃、僕は家路に着いた。そして玄関の扉を開くなり、異様な雰囲気を察した。
玄関には、ここでは見かけたことのない二足の靴が置かれていた。ここではなく、他の玄関でよく見る二足。
どうなっても知らないからな、剛の言葉が蘇る。
お前は預言者に向いているよ。明日学校で会ったら、そう伝えてやろう。
「……ただいま」
居間の扉を開くと、暖房の吐く温風にも関わらず、空気は凍り付いていた。
「光彦、ここに座りなさい」
母親の景子は僕を見ようともせず、吐き捨てた。その横には父親の辰雄が、その正面には祖父母の姿があった。そしてそれぞれの前には、湯気の立っていない湯呑が。



