Time is gone



「何で土曜日、来なかったんだよ」
 教室の机に座るなり、剛は詰め寄ってきた。
 約束なんかしてたっけ? 
 僕の惚けた顔を見て、剛は続けた。
「試験だよ! メールしてもシカトするし、電源も切りやがっただろ!」
 そんなこともあったな……、僕は記憶の断片を紡ぎ合わせた。あの日は、試験どころではなかった。だがそれを説明したとしても、剛は逆上するだけだろう。僕の話を信じる人は、一人しかいない。
「聞いてんのかよ? 俺はもう、どうなっても知らないからな」
 剛は捨て台詞を残して去った。
 時計を手にしてしまったことに比べれば、試験をさぼったことなど屁でもない。試験をさぼったからといって、僕は殺されはしないし、誰かを殺したりもしない。
 抱えている問題の大きさが違うのだよ、剛くん。
 僕は心の中で、去り行く剛の背中に呟いた。