言い忘れていたが、彼と我は席が隣同士なのだ。 「あ!そうだ、その消しゴム取ってくんね?」 彼は付け足すように言いながら、床を指した。 だが、指した場所には消しゴムなど落ちていないようだ… 「え、ないけど…」 我がそう言うと彼は不敵に片方の口角を上げて フッ、と笑うと 「いや、あるんだな」 と言って、指をパチンと鳴らした。 …? なにか違和感がある… そう、違和感のある場所は… 「な、あっただろ?」 我の脱いでいた上履きの中に、小さな消しゴムが入っていた。