翌朝、まだエレンは拗ねていた。
「あたしが行くっつってんだろ」
「ダメ。エレンが行くとややこしくする上に、俺が面倒だし」
「ロウてめぇ…!」
ロウが宥めても言うことを聞かない。
ま、当然だろうが。
「アスタにも迷惑かけるし、サリアが心配して泣いちゃうからねー?」
「うっせぇぞ」
「はいはい、お留守番もたまにはいいもんだよ?」
「……チッ」
「じゃ、カグラいってらっしゃーい」
「あぁ」
ったく、
自分の不祥事ぐらい穏便に抹消して欲しいもんだ。
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アクアからずっと南にあるのは、ただただ広がる荒地。
「ぐっ、は…ぁ!」
「今回は世話になったな。
…ったく、面倒なことしてくれやがって」
「うぁぁあああ!!」
何人か男が銃や木刀のようなものを持って倒れている。
カグラが鳩尾に右ストレートをお見舞いした後に、首に手をやる。
「首を折るか、背骨を折るか、
お前はどっちがいい?」
ギリギリと手の力を強めていく。
「っひぃ…!!」
―――冗談が通じないか。
「おい。
……次はねぇぞ」
そう言って、気絶させるカグラ。
去っていくカグラの黒い服には
血も付いてなければ、
傷も、付いていなかった。
