時空奏者




「カグラ…!私、悪くないもんっ!!
だって、エレンってばまた騒いできた上にあんな大怪我してきたんだよ!?」

「…そこは、俺も同感だ」



ため息をつきながらエレンを睨みつける。



「はぁ!?」

「……同じく、俺も」


「クウまで!?
せっかく抜け出してきたらコレなんだぞ!?
少しくらい―――」


エレンがキャンキャン騒ぎ始めたところで


ハルカの目の前に般若が降臨した。



「そうだった…!この騒ぎで忘れてたが、
てめぇがハルカをさらって来るわ、下で暴れるわ、
それだけならまだしも、一番面倒なヴァンの所から抜け出してくるわ…

とにかく、こっちはてめぇのせいで大騒ぎだったんだぞ!
分かってんのかっ!

―――なのに、だ。
やっと見つけたと思ったら、何身内で争ってんだ!!」



―――か、カグラさん、鬼っ…!!



「おい、カグラ。……エレンも。ハルカがいる。…気をつけろ」


「ったく…」


「っ…!散々だっ…!!」



―――うん、散々だよね!

あたしもずぅっと散々な目にあってるし…
うん。決めた!


今からあたしも怒らさせていただきます!!



「エーレーンー!!」

「はっ!?

え、ハルカ!?ちょ、待て!!
早まるなよっ!!…おい、聞いてんのか!?

待てっ…て、ば……!
っぎゃ!!」


「さらったって何!?聞いてないんだけど!?
おまけにずっと無視し続けやがって!!
ふざけんな!!ちゃんと説明しやがれっ!!」



華麗なハルカの頭突きをくらいつつも、
くわんくわんする頭を必死で働かせるエレン。



「説明ならするから…!この、クソ石頭がっ…!」



―――か、勝った!!

あの美しいけど鬼畜な赤髪大魔王に勝ったっ…!!