「ハルカ様、建物内をご案内いたします」
自分が起こした騒ぎの中
一人冷静なリン。
―――は、ハルカ様!?
いやいやいやいや何言っちゃってんの!?
「あ、あの!あたしになんか
“様”とかいらないんで!!
あたし、そんな身分じゃないしっ…!
よっぽどリンさんのほうが偉いと思」
「いえ、ハルカ様はハルカ様ですので。
それに自分に“さん”など必要ありませんし、
呼び捨ての方が聞きなれておりますので」
「いや、でも…!」
「バカじゃねぇの?」
いつまでも続きそうだったのやりとりをぶちぎるのは
やっぱりエレンであった。
「呼びやすく呼べばいいだろーが」
―――可愛くねっ!
別にいいよ、あんたなんか…!
「うるさい!赤髪悪魔っ!!」
―――これで上等よっ!
ナイスあたし!よく言ったあたし!!
「…へぇ?」
嬉しそうに獲物を見るエレン。
「そりゃどーも。…バ、カ、ル、カ」
「はぁ!?」
激化しそうになる
エレンとハルカのやり取りに
ロウが仲裁に入った…はずだった。
「はいはいストップ。
エレンも可愛くない事なんか
言ってないであたしも仲間に入れてって」
「そうか、そんなに死にてぇか。目瞑れ。
3秒後にはあの世へ送ってやるよ」
―――何してんのロウさん!
首鷲掴みされてますよ!!
なのに、何で笑ってんですか!
もしかしてドMですか!?
そうなんですか!?
「ハルカ様、自分の事は
呼び捨てで構いませんので」
「わかりまし…あっと、わかった!」
「では、行きましょうか」
「う、うん。あの2人は……」
今は追いかけっこ状態になっている2人。
―――気のせいなのかな、目の疲れなのかな
針が飛んでる気もするけれど…
