布団から起き上がると少しめまいがした。これも寝不足のせいだろう。最後に時計を見たのは三時頃だっただろうか。


 美咲も私の夢を見ることはあるのかな、とふと思った。学校で彼女とすれ違う度、私の心はちくりと痛む。


 どうして、同じ高校に入学してしまったのだろう。違う高校ならば、もう会うこともなく美咲なんて忘れられたのに。


 丈の長いパジャマのズボンを引きずりながら、部屋を出て裸足で廊下をぺたぺたと歩く。突き当たりのガラスがはめ込まれたドアの向こうには、台所と脚の低いテーブルが置かれたリビングがある。


 中の様子を横目で見ながら、私は手前のトイレに入った。芳香剤の匂いが強すぎるトイレは、私の吐き気を増長させる。なのに何だかここから出たくなくて、用を足した後もしばらくの間、私は便座に座っていた。