「はいよ、どうした?」
『もしもーし、美香ちゃんですー』
「わかってるよ。どうした?」
『健留、きょう休みなのー?』
「ああ、休みだよ」
『なーんだ、つまんなーい。遊びいくのー?』
「や、いまからは行かないよ。もう夕方だし」
『え、じゃあ美香と遊びいこーよ!ごはんいこ♪』
「お前は働きなさい」
『ちゃんと店長に連絡すればへいきだもーん。ごはんいこう!』
「だめ。夜は遊べません」
『‥‥‥』
不意に、美香が黙り込む。
「…何、どうしたの」
『…あいちゃんとごはん食べるの?』
「…は?」
『聞いたの。健留がいつもあいちゃんと夜ごはん食べるんだって』
「…あいに?」
『…前に、少し会ったから。聞いちゃった』
「そっか。…うん、だいたい、夜は一緒に食べるよ。それが?」
『そんなにお世話する必要ある?』
「…うん?」
なんだか、いつもの美香らしくない。
いつもは、ふにゃふにゃ笑ってて
ゆるーい雰囲気なのに。
『あいちゃんは、もう小さいこじゃないんだから、自分のごはんのお世話くらい、できるでしょう?』
「…まあ、な?」
『毎日一緒に食べてあげる必要ないよ』
「…うん、けどさ、俺が心配だから。しっかり食べてるとこ、俺の目で確認したいんだよ」
『‥‥‥』
「美香、どうした?らしくない気がする」
『…ううん、へいきー』
「そうか?」
心なしか、声がいつもより暗い。
『へいきだけど、健留があいちゃんばかりに構ってるから、つまんなーい』
「何言ってんの。ガキか」
『…いーや。たまには美香と遊んでね』
「はいはい、時間が合ったらな」
少しのしこりを残して、電話がきれた。

