ニコッとわらって、美香が駆け寄ってくる。


「いま帰りなのー?」

「ああ。少しみんなで話してたから。美香は、買い出し?」

「うん、お使い頼まれたのー。…ところでさ、」

美香はちらっとあいを見た。


「お店の子ー?」

「いや、同じアパートの子。あいっていうんだ」

「はじめまして」

ペこりと頭をさげる。

「はじめまして!あたし美香っていうんだ。よろしくねー」

ぽんぽんとあいの肩を触りながら話す。

「南あいです」

にこにこ笑うあい。

「てか、あたしお使いついでにお店行こうと思ったのになぁ。みんな帰っちゃったよねー」

「帰ったよ。夜なんだから寄り道しないではやく店に戻れって」

「えへ、送ってー」

「近いから、気をつけて店戻れ」

「ええー、冷たい…あいちゃん、健留ひどいねえ」

あいにすがって泣きまねをする。

「危ないから、送っていったら?」
微笑みながらあいは言った。

きっと内心は困ってる。

「ええー、仕方ねえな…」

「ほんと!?やったぁ♪」

「じゃ、行くぞ。早足な。…あい、行くぞ?」

「…え?あたしも?」

あいの驚きに健留が驚き。

「当たり前だろ。美香よりアパートのが遠いんだし、行こう」

「あ…、うん」
戸惑いぎみに、早足でついて来る。